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吉澤 厚文*; 大場 恭子; 北村 正晴*
日本原子力学会和文論文誌, 18(2), p.55 - 68, 2019/06
本研究は、東京電力福島第一原子力発電所の緊急時対策本部における事故時のワークロードマネジメントを分析することにより、緊急時対応力向上を目的としたものである。選定した事象は、緊急時対応力が求められた福島第一原子力発電所の3号機におけるHPCIの停止による原子炉注水停止から、原子炉への注水回復を暫定的に回復することに成功した時間帯の緊急時対策本部の対応である。テレビ会議システムの映像を文字起こししたデータを基本データとし、会議録では事実関係の把握が難しい時には、各報告書や調書を参照した。また、ワークロードマネジメントを評価する手法は、Crew Resource Managementの手法を参照した。本研究により、発電所対策本部のワークロードマネジメントの実態が明らかになるとともに、緊急対応力向上のために、発電所対策本部および関係する外部組織に求められる課題が明らかになった。
知見 康弘; 岩田 景子; 飛田 徹; 大津 拓与; 高見澤 悠; 吉本 賢太郎*; 村上 毅*; 塙 悟史; 西山 裕孝
JAEA-Research 2017-018, 122 Pages, 2018/03
原子炉圧力容器の加圧熱衝撃(Pressurized Thermal Shock: PTS)事象に対する構造健全性評価に与える影響項目の一つである高温予荷重(Warm Pre-stress: WPS)効果は、高温時に予め荷重を受けた場合に、冷却中の荷重減少過程では破壊が生じず、低温での再負荷時の破壊靱性が見かけ上増加する現象である。WPS効果については、主として弾性データによって再負荷時の見かけの破壊靱性を予測するための工学的評価モデルが提案されているが、試験片の寸法効果や表面亀裂に対して必要となる弾塑性評価は考慮されていない。本研究では、実機におけるPTS時の過渡事象を模擬した荷重-温度履歴を与える試験(WPS効果確認試験)を行い、WPS効果に対する試験片寸法や荷重-温度履歴の影響を確認するとともに、工学的評価モデルの検証を行った。再負荷時の見かけの破壊靭性について、予荷重時の塑性の程度が高くなると試験結果は工学的評価モデルによる予測結果を下回る傾向が見られた。比較的高い予荷重条件に対しては、塑性成分等を考慮することにより工学的評価モデルの高精度化が可能となる見通しが得られた。
國富 一彦; 篠崎 正幸; 深谷 好夫; 大久保 実; 馬場 治; 丸山 茂樹*; 大谷 章仁*
JAERI-M 92-147, 77 Pages, 1992/10
高温工学試験研究炉(HTTR)の中間熱交換器は、10MWの熱交換能力を有するたて置きヘリカルコイル型の熱交換器であり、平成6年完成を目指して、現在、製作を進めている。最大900Cを超える状況で使用される伝熱管の強度評価のために、原子炉の運転中に発生すると考えられるすべての運転状態の応力及び非弾性ひずみ等を解析により求めた。本報は、伝熱管の強度評価の手法、クリープ解析の手法及び評価結果を示したものである。解析により、伝熱管に発生する非弾性ひずみ及びクリープ疲れ損傷は、原子炉出口温度850C又は950Cの運転の第1~2サイクルで大幅に増加し、その後の増加は僅かであり、HTTRの寿命20年の間、許容値を超えないことが分かった。また、1次応力も全ての運転状態で許容値を満足した。
高津 英幸; 山本 正弘; 清水 正亜; 鈴木 和夫*; 園部 正*; 林 雄造*; 水野 源一郎*
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(5), p.341 - 355, 1984/00
被引用回数:4 パーセンタイル:45.49(Nuclear Science & Technology)核融合装置のポートへの適用を目的として、溶接ベローズの捩り疲労強度を実験的に評価した。溶接ベローズは微小な捩り角を与える事により容易に座屈を起こしスパイラル状の大変形を呈する事、溶接ベローズは捩り荷重を与えても容易に破壊には至らず、従来信じられて来た以上に疲労寿命を有する事が実験により明らかとなった。捩り荷重が作用している状態の溶接ベローズの応力評価に関しては、座屈が生じない場合は剪断応力評価式、座屈する場合には軸方向曲げ応力評価式を提唱し、高サイクル疲労領域では前者、低サイクル疲労領域では後者が疲労データとよく合致する事が判った。本応力評価式をJT-60真空容器のポート用溶接ベローズに適用した結果、設計荷重に対する健全性が示された。
原山 泰雄; 泉 文男; 藤田 操
JAERI-M 8407, 75 Pages, 1979/08
プログラムFREC-3は、原子炉燃料棒の設計パラメータが照射に従ってどのように変化するかを計算し、燃料棒の安全性評価を行うことを目的にしている。特に被覆管の歪の照射による変化を評価することに重点をおいている。この報告書は、FREC-3の計算方法およびそれに含まれるモデルについて記述する。
Guan, W.; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 二川 正敏
no journal, ,
J-PARCの大強度核破砕中性子源で使用する水銀ターゲット容器は、水銀容器及び冷却水層を有する保護容器から成るSUS316L製薄肉多重容器構造であり、1MW(3GeV, 25Hz)での安定運転を目標としている。パルス陽子ビーム入射によって生じる水銀の発熱により、容器間を接続するリブ構造部に高い熱応力が生じる。また、熱応力は陽子ビームのトリップによって繰返し負荷される。1MW大強度運転を安定的に実施するためにも、熱疲労に対する耐久性向上の観点から発生応力を低減する必要がある。本研究では、将来的な出力増強を視野に入れて、既存のターゲット容器の構造モデルを基にして、ロバストな設計や大幅に解析ケースを減らす等の特徴を有するタグチメソッドを適用し、水銀ターゲット容器に発生する熱応力を低減するための構造モデルの最適化検討を新しいアプローチによって実施した。結論として、タグチメソッドによって評価した構造モデルでは、従来構造に比べて、応力分布をさらに低減できる条件を示すことができた。今後のターゲット容器の構造設計に対し、このような新しい解析法を用いることによって、より高出力に耐える設計の最適化を短期間に進めていくことが期待される。
勝山 仁哉; 真野 晃宏; 山口 義仁; Li, Y.
no journal, ,
溶接残留応力は、配管溶接部に対する構造健全性評価における亀裂進展の駆動力であり、大きな不確実さを有する重要な因子の1つである。合理的な構造健全性評価を行うためには、その不確かさを考慮し、確率論的破壊力学(PFM)に基づき評価を行うことが重要である。既存のPFM解析コードでは、複数の有限要素解析(FEA)による結果を統計処理することにより、その不確実さが設定されているが、その処理の方法はPFM解析を実行する者や解析コードに依存しており、異なる不確かさを与える要因となると考えられる。本研究では、フーリエ変換を基に新たな溶接残留応力評価モデルを開発し、当Grが整備しているPASCAL-SPに導入した。これにより、FEAで得られた複数の溶接残留応力解析の結果を直接PFM解析の入力データとして設定することで、その不確実さを自動的かつ正確に設定できるようになった。